コロナで使える、セーフティネット保証4号、5号とは?わかりやすく解説!指定業種って?

セーフティネット保証4号、5号(SN4号、SN5号と略すこともある)とは、中小企業者が民間の銀行や信用金庫の信用保証協会付き融資、公庫や商工中金からの融資を受ける際に使える優遇された制度のことです。
この制度の融資を利用するには、自治体でセーフティネットが利用できることの認定を受け、金融機関へ借入の申し込み後、金融機関(民間金融機関であれば信用保証協会も)の審査を通過する必要があります。

セーフティネットを利用することの魅力としては、
・金利や保証料が安い(条件を満たすと無利子、保証料補助が受けられる)
・無担保で最大8000万借り入れ可能。
・すでに信用保証協会を利用していて一般枠がいっぱいの方でも、別枠として使える。
(信用保証協会の枠、別枠についてはこちらで解説)

このページでは、セーフティネット保証の対象となるか、そもそも4号と5号とは何か、申請等手続きの方法についてわかりやすく解説します。

自分はセーフティネット保証の対象か?

セーフティネットの制度は1号から8号まで存在し、それぞれで対象の要件が異なります。

1号:連鎖倒産防止
2号:取引先企業のリストラ等の事業活動の制限
3号:突発的災害(事故等)
4号:突発的災害(自然災害等)
5号:業況の悪化している業種(全国的)
6号:取引金融機関の破綻
7号:金融機関の経営の相当程度の合理化に伴う金融取引の調整
8号:金融機関の整理回収機構に対する貸付債権の譲渡

今回の、いわゆるコロナの制度にあたるのは、4号と5号です。
次の項目で詳しく解説しますが、
4号の場合は、①事業所在地が災害で影響を受けた指定の場所、②20%以上の売り上げ減少
5号の場合は、①営んでいる事業が不況業種、②5%以上の売り上げ減少

といった要件を満たす必要があります。
しかし、今回のコロナについては特例として、全地域全業種が指定になっているため、実質売上減少の要件のみです。

もし、4号と5号の両方の対象となる場合、4号を利用した方が民間金融機関の融資は通りやすくなる可能性があります。
理由としては、中小企業者が金融機関へ返済ができなくなってしまった場合、保証人である信用保証協会が100%(全額)金融機関に返済を行ってくれるからです。(5号の場合は80%)
信用保証協会が肩代わった分については、中小企業者が信用保証協会へ返済する必要があります。債務がなくなるわけではありません。

ただ、要件を満たし対象になったとしても、金融機関や信用保証協会で所定の審査を挟むため、必ず資金調達できるわけではありません。
また、審査に時間がかかるので融資までの時間もかなりかかってしまうことに注意しましょう。

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セーフティネット4号(地域ごとで対象が決まる)

セーフティネット保証自体は従来から存在しています。
4号の基本的な要件は、以下の通りです。

① 災害などにより影響を受けた地域(=指定地域)で1年以上継続して事業をおこなっていること
→平成30年度の大雨であれば岡山県岡山市、倉敷市、総社市が指定地域といった具合。市町村単位で指定地域になることが多い。
② 最近一か月の売上高が前年同月比から20%以上減少していること
③ その後2か月間を含んで3か月の合計売上高も前年同期と比べて20%以上減少が見込まれること

上記の3つを満たしている事業者が対象となります。

今回のコロナでは異例ともいえる全都道府県が指定地域となっています。また、業歴要件についても緩和がされたことが発表されています。
このため、要件をもっとわかりやすくすると以下の通りになります。

① 3か月以上継続して事業をおこなっていること
② 最近一か月の売上高が前年同月比から20%以上減少していること
③ その後2か月間を含んで3か月の合計売上高も前年同期と比べて20%以上減少が見込まれること

※業歴1年以下の場合の前年の定義については市町村に確認要

以上のようになります。
売上高の減少の確認は市町村で認定を受けることになります。売り上げの減少の確認方法についてですが、出納簿などで売り上げの減少を確認できるエビデンスが必要な市町村、自己申告のみの市町村というように認定方法は市町村ごとに異なりますので、市町村に確認するようにしましょう。

<参考リンク>
中小企業庁 セーフティネット4号

セーフティネット5号(業種で対象が決まる)

全国的に不況となっている業種を指定対象業種として救うための制度です。
要件としては、以下の通りです。

① 指定業種を営んでいること
② 売上減少か原油価格の高騰による影響を受けていること

(売上減少要件)
→最近3か月間の売上高などが前年同期比で5%以上減少していること
(原油価格の要件)
→製品等原価のうち20%を占める原油等の仕入価格が20%以上、上昇しているにもかかわらず、製品等価格に転嫁できていない状態

上記2つの要件にあてはまれば利用することができます。
基本的には売り上げ減少の要件を利用することが多いです。

指定業種

指定業種は四半期ごとに見直しがあります。
しかしコロナは例外で、適宜指定対象業種が追加され続け、2020年5月ほとんどの業種が指定となりました。(令和3年1月まで)

<参考>
セーフティネット保証5号の指定業種を拡充します 中小企業庁HP

完全一致でなくとも、本業に付帯する事業の業種が指定されていれば認められる場合があります。(市町村と公庫もしくは信用保証協会の判断による)

融資手続きの流れ

公庫もしくは金融機関に相談

取引がある公庫の支店や金融機関、もしくは最寄りの金融機関へ融資の相談に行きましょう。
現在、公庫での融資相談はネットでの事前予約制となっています。相談せず、すぐに申し込む場合は必要書類を公庫の支店に郵送します。
民間金融機関での保証付融資を希望する場合、信用保証協会ではなく先に金融機関へ行った方がスムーズでしょう。融資の受付は金融機関で行うため、先に信用保証協会に行っても、金融機関を案内されるケースが多いです。(協会によって異なります。信用保証協会での手続きに疑問があれば協会に行くことをお勧めします。)

本店所在地、主たる事業所の市町村で認定申請

セーフティネット保証を利用するためには、売り上げの減少と指定地域もしくは指定業種を営んでいることの認定をもらう必要があります。
認定が無事されると市町村長のはんこが押されたセーフティネットの認定証が発行されます。

公庫もしくは金融機関に書類提出、公庫、信用保証協会での審査開始

市町村で発行してもらった認定証を公庫もしくは金融機関へ提出しましょう。信用保証協会を利用する場合であれば、その後金融機関が信用保証協会へ書類を提出してくれます。

信用保証協会での具体的な審査の流れはこちら

無利子、保証料減免、無担保、据え置きでの融資になるの?

神奈川県についてはこちらでまとめています。
4000万円以内の無利子無担保融資
4000万円を超えた融資、各市町村の融資や給付金制度

令和2年度の補正予算が成立したことにより、
・セーフティーネット保証4号(=売上20%以上減少&指定地域)
・危機関連保証(=売上15%以上減少)
上記の制度を利用することで、公庫や商工中金、民間金融機関(≒信用保証協会)にて無利子無担保で限度4000万円の融資を受けることができるようになりました。
セーフティーネット保証5号(=売上5%以上減少&指定業種)については、小規模な個人事業主のみ無利子になります。

都道府県、市町村により異なりますが、「新型コロナウイルス感染症対応資金」という名前で融資メニューが提供されていることが多いです。

上記融資制度は限度額4000万円となっていますが、市町村の制度をうまく活用することで、4000万円以上でも無利子にしたり、利子を低くすることができる場合があります。
一番お得な制度を探すには、所属の市町村のHPを見て使いたい制度を確認し、金融機関に相談に行くのが確実です。

再度になりますが、要件を満たし対象になったとしても、金融機関や信用保証協会で所定の審査を挟むため、必ず資金調達できるわけではありません。
また、コロナの影響で申し込みが殺到しているため、通常時よりもかなり審査に時間がかかってしまうことに注意しましょう。

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